診療案内
- HOME
- 診療案内
診察動物
犬、猫、フェレット、小型哺乳類、鳥類、両生爬虫類
※獣医師がウサギアレルギーになってしまったため、ウサギの新患はお断りしています。
※エキゾチック動物の診療は主に対症療法のみとしております。
診療時間
診察 時間 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
9:30~12:30 | ● | / | ● | ● | ● | ● | ● | / |
16:00~19:00 | ● | / | ● | ● | ● | ● | △ | / |
受付は、午前診療は12:00まで、午後診療は18:30までとしております。
※△は14:00~17:00(受付は16:30まで)
保険について
当院ではアニコム損保とアイペット損保に対応しています。会計時に窓口清算をいたします。
(尚、上記損保でも窓口清算できない場合がありますので、その場合はオーナーさんご自身でご精算ください。)
お支払いについて
クレジットカード(VISA・MasterCard・JCB・AmericanExpress・Diners)、および電子マネー(WAON・楽天Edy)をご利用いただけます。
来院時の注意事項
- 来院時は動物の状態・状況が分かる方、またはいつもお世話をしている方がご来院ください。
- ご来院の際は、動物をキャリーまたは洗濯ネットに入れるか、リードをつけてご来院ください。
- 待ち時間は、リードを放したり自由に遊ばせたりなど絶対にしないでください。
動物取扱業の登録情報
第一種動物取扱業の種別 | 保管 |
---|---|
登録番号 | 第290号 |
登録年月日 | 2018年09月14日 |
登録の有効期間の末日 | 2023年09月13日 |
動物取扱責任者の名前 | 和田 佳菜 |
その他
ペットホテル
事前予約制となっております。
ご予約や空き状況につきましては、お電話より直接お問い合わせください。
※ご利用の際、狂犬病/抗体検査結果証明書の提出が必要となります。
TEL:088-879-6303
稀な疾患の紹介
猫の肺吸虫症
流涎が多く、咳がひどい雑種猫が保護されました。よだれは多いが、口内炎症状は無く、神経症状も認められませんでした。X線画像を確認すると、肺野に球状の陰影が複数確認されましたが、血液検査では貧血や白血球の増加は確認されませんでした。肺腫瘍なのか、深在性真菌症なのか?その後、糞便検査では多数の虫卵が認められ、同じものが流涎中にも確認されたことから、この疾病が肺吸虫症であることが分かりました。寄生虫疾患でしたが、血液所見では好酸球の増加は認められませんでした。
治療では、プラジカンテル(30mg/kg s.c.)を使用しました。
この症例は高知大学医学部の協力により肺吸虫の種が宮崎肺吸虫と確認されました。この寄生虫はホラアナミジンニナという巻貝が第一中間宿主となり、サワガニなどが第二中間宿主となって感染源になります。このような生態系がある地域では、この疾病に注意が必要かもしれません。
食道ガン
この症例は、動物公園勤務時に処置した症例です。
切徐不能な食道ガンにおける食道狭窄は、その予後およびQuality of life(以下、QOL)を著しく低下させる要因になります。このような症例に対してヒト医療ではステント留置術が行われています。当症例もQOLの改善を目的に、気管用のステントを用いてステント留置術を行いました(実施にあたっては高知大学の先生にご指導いただきました)。
当症例はX線検査で気管の蛇行が確認され、前胸部に病変の存在が示唆されました。そこで内視鏡検査を行うと食道狭窄が認められたため、ステントを挿入し、食道を開くことでQOLの改善を試みました。ステントは動物のサイズにより気管用ステントを用いました。ステント展開後、気管を圧迫することなく呼吸状態は安定しステント留置は上手くいきました。目的としたQOLの改善もみられました。ところが1ヶ月も経たないうちに再び食道の通過障害が見られ、内視鏡検査によりステント内腔に腫瘍細胞が増生し、再び食道を狭窄させているのが確認されました。そして検査後、まもなく当症例個体は息を引き取りました。病変部ではステント格子内から腫瘍が増生していました。ステントには格子部にカバーが付いているタイプもあり、このような症例ではカバータイプを使うべきだったと深く反省した症例でした。
鳥マラリア症
鳥マラリア症は、Plasmodiumと呼ばれる原虫が血液中に侵入し、赤血球や肝細胞などに寄生して貧血や元気消失、体重減少など様々な症状を呈する疾患です。原虫はフィラリアと同じように蚊が媒介します。野生下ではカラスやスズメ、また家禽などに感染が報告されていますが、臨床上問題になるのは、現状では猛禽類やペンギン、ハワイ諸島の一部の野鳥などです。しかし、寄生虫が引き起こす病気ですので、先入観は捨てて診療を心がけたいと思います。
下の写真は鳥の血液塗抹像です。鳥類は赤血球に核を持ちますが、その核の横に接するように見られる円形の像が鳥マラリア原虫です。この写真の鳥マラリア原虫は家禽などに感染が確認されているP.juxtanucleareと呼ばれる種で、その原虫が抵抗性の無い野鳥に感染しているのが確認されたものです。
治療には、クロロキン(5mg/kgB.W.)とプリマキン(1mg/kgB.W.)を投薬しました。約1週間の連日投与で末梢血中から原虫は確認されなくなりましたが、完全駆虫できたかどうかは不明です。再発しないか経過観察が必要になりますが、生還できた場合は抗体を獲得するのか、再発しても症状が軽く済むケースが多いというのが経験からの感想です。
セキセイインコの抗酸菌症
細菌検査の中で診断が厄介なのが抗酸菌の診断ではないでしょうか。
それは細菌培養が難しく、しかも培養に数十日もかかるので簡単には探し出せないからです。最近では遺伝子検査も行われていますが、臨床材料から検出するのは難しいというのが私の経験です。
抗酸菌の中で人畜共通伝染病にあたるのが結核菌です。結核菌とは遭遇したくないですね。
※画像をクリックすると拡大表示されます。
上の写真は急に元気が消失したとう主訴で来院し、その日に死亡したセキセイインコです。
死亡原因を調べるため解剖を行ったところ、肉眼的には顕著な異常は確認されませんでした。右の写真は胸部を開いた写真で、心臓や肝臓を露出しているものです。肝臓の下に白っぽく見えているのは筋胃と呼ばれる胃袋です。
そこで、肝臓組織をプレパラートにスタンプして、ギムザ染色およびチール・ネルゼン染色を施して顕微鏡下で観察したところ、抗酸菌が確認され、死因は抗酸菌症と考えられました。抗酸菌症は国内では珍しい病気のため、すべての臓器をホルマリン固定し、高知大学で病理組織標本を作製することにしました。
上の図は、代表的な3つの染色法で染めた病理組織標本です。ここでは同じ部位で3つの標本を作り、チール・ネルゼン染色と呼ばれる抗酸菌染色を行わないと抗酸菌は染色されないというのを示す教材として紹介しています。
左側の図は上下ともチール・ネルゼン染色を施した肝臓の病理組織標本です。
上は弱拡大、下は強拡大図です。赤く染まっているのが、抗酸菌です。
中央は細菌を染める代表的な染色法であるグラム染色標本です。
この染色法では、青く染まるものをグラム陽性菌と呼び、赤く染まるものをグラム陰性菌と呼びます。
主な細菌は、この染色法によって確認できますが、抗酸菌は染色されないため確認できません。
右側の図は組織標本を染める代表的な染色法で、ヘマトキシリン・エオジン染色、略してHE染色を施した病理組織標本です。抗酸菌は確認されませんが、明らかな病変が認められるため、抗酸菌症の診断は可能な異常所見が認められます。(これらの病理組織標本は高知大学医学部病理学教室のご協力にて作製したものです)
抗酸菌症の診断には、ある程度経験も必要です。私は幸いにも法定伝染病であるヨーネ病を経験できたため、当症例において抗酸菌を見落とすことなく診断できたと思います。エキゾチックを診療する動物病院では、是非、抗酸菌染色法を身につけていただきたく思い、このような資料を掲載いたしました。皆さまのお役に立てれば幸いです。
【補足】一部の臓器をアルコール固定し、抗酸菌のDNAを抽出して菌の同定を試みたのですが、結果的に上手くいきませんでした。この点が非常に悔やまれます。
抗酸菌染色(チール・ネルゼン染色)
写真は私が使用している染色液です。抗酸菌染色を行う頻度は少ないので、100mlの小瓶を準備しています。
画面左から、チール・カルボールフクシン液(武藤化学)、3%塩酸アルコール(武藤化学)、レフレル・カリメチレンブルー液(武藤化学)の3点です。
月に1回、使うか使わないかの染色液ですが、もしもに備えて準備しています。
薬剤感受性試験
細菌感染症の治療で必須なのが薬剤感受性試験です。
動物臨床の現場では、初診時から薬剤感受性試験を行うケースは少ないですが、本来は薬剤感受性試験の結果に沿って抗菌薬を選択するのが理想的な治療法です。
特に皮膚病や呼吸器感染症では薬剤感受性試験は必要な検査だと思われます。
下の図は皮膚病のケースですが、これを使って簡単に薬剤感受性試験のことに触れたいと思います。
まず菌を分離します。皮膚の細菌分離において当院では単純な培地を使用しています。ちなみに呼吸器からの菌の分離は血液寒天培地およびチョコレート寒天培地を使用しています。
次に菌を分離したら菌の同定を行うべきなのでしょうが、臨床の現場では菌の同定より有効な抗菌薬を探すことを重視し、その分、検査料を安く提供しています。
中央の図と右側の図は感受性試験の結果を示しているものです(便宜上、それぞれ検体が違います)
培地にある5つのディスクはそれぞれ違う抗菌薬が付着してあるものです。それぞれの抗菌薬が有効に機能すれば、ディスク周囲に菌が生えないのでリング状に透けた円が作られます。それを阻止円と呼びます。この阻止円のサイズで抗菌薬の効力が分かります。中央の図では阻止円が認められますが、右側の図では阻止円が認められません。阻止円が作られないということは、ここで使われている抗菌薬は効力が無いということです。ここで使われている5つの抗菌薬を処方されていた場合、効果の無い薬を飲み続けることになり、動物にとってもオーナーさんにとっても不幸なことになってしまいます。治りの悪い感染症は必ず薬剤感受性試験を行うべきだと考えます。
血液寒天培地と一般寒天培地です。
感受性試験は、ミューラヒントン寒天培地を使用しています。
細菌検査には様々な培地が使われます。野生動物も診察しているので、人畜共通伝染病を予防する上で、これらの培地が必要になります。犬、猫の診療では必要無いかもしれません(T_T)
作業をしているクリーンベンチの様子です。クリーンベンチとは中から外へ空気が流れ、作業を行う空間の無菌状態を維持する設備です。感染リスクの高い菌を扱う場合は、外へ流れ出る空気が術者に触れないように手前で吸い取る機能を備えた安全キャビネットを使うのが一般的ですが、当院では危険な菌を扱わないのでクリーンベンチで作業しています。